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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 ペタロは、ペースト状になった薬が入った瓶を手に取った。


「これが薬なの? なんか、ベビーフードが発酵したような……」


 赤茶色の味噌に青カビが発生しているように見える。純化は思わず、苦い表情を浮かべた。


「本当はもっと固くなるんですが、ヌカーを挑発するために、水を半分捨ててしまいましたから……でも、効き目はあります」


「えっ!? 水が多いと固くなるん?」


「そうなんです。化学反応を起こしますからね。もっと少なかったら、シャバシャバになります。球也さんと奈美さんが、せっかく汲んできてくれたのに、申し訳ないことをしました」


 ペタロはフラフラと歩き出す。薬のせいか、顔色が良くなっている。


 突然……。


『バーン!!』


 ドアが開いた。


 床に座って眠っていた球也も、驚いて目が覚めた。


 ドアを開けたのは、血相を変えた奈美だった。


「大変! すごい数の怪物が来たよ!!」


「なぬっ!?」


 球也が立ち上がった。


 あわてて純化も、武器の杖をとった。


「でも、怪物は神とか仏さんの使いやろ?」と球也がきいた。


「でも、妖精達の敵ってことでしょ。ペタロさんも危ないよ」 


「とりあえず、止めなきゃ……」


 そう言って、球也が外に出た。


 巨大なトカゲやクモが数ひき、球也を苦しめた岩顔や、忍者の様な人型の怪物もいる。


 その怪物どもを仕切っているのが……淀屋橋だった。


「おーい、奈美ぃーっ!! 球也くーん、助けに来たぞー!!」


 ヤリを振り回し怪物達をあやつり、村を壊している。


「待った! 奈美ちゃんのおじいさん! 確かにそうやけど、この場合は違う違う! なんか、おたくが悪に見えてくるやんかぃ!!」と球也が止めにくる。


「おお、無事だったか」


 淀屋橋は笑顔で手を振った。


 外では、村人が次々と巨大トカゲやクモに飲み込まれている。


「ちょっと、おじいさん。神様のところに行って話聞いたから、その時に思うた結果はこれでええんやろうけど、今は違うんですって!!」


 球也がそう言って、淀屋橋に近寄った。



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