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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

「最強の剣だと!?」


「そうだ……最強の剣だ……」


 ポンチョの中をゴソゴソと探る。


「えっと、最強の剣……」


 ヌカーはポンチョを脱いだ。下は白の長袖シャツにももひき姿だ。


「おかしいのう?」


「どないしたん?」


「いや、持ってたはずの剣が無いんだ……ちょっと待っとれ」


 ヌカーは民家の中に入っていった。


 しばらくすると……。


 サヤに収まったままの剣を手に持ってやってきた。


「これじゃこれじゃ、待たせたな」


 剣を地べたに置き、ポンチョをかぶる。


「ふふふ、いまこの最強の剣を使う時がきたようだな」


「なにぃっ!! 最強の剣だとっ!!」


「付き合ってくれて悪いな。お前との絡みの成功例がやっとわかったわい」


 二人の背後では、村人対奈美と精霊達との闘いが繰り広げられていた。


 ヌカーは剣のサヤに手をそえた。


「先日、発見した切れ味のいい新素材を加工して作りあげた剣。この切れ味を敵に試す時がきた」


「新素材!?」


 球也は少し、いぶかしく言った。


「いざ、この剣の全容を見せるときがきたっ!!」


<うりゃーっ!! てめぇーら、このソーヤ様のパワーを思いしれーっ!!>


 ソーヤに、最強の剣を示す緊張感を台無しにされたヌカーは、少しうつむいて黙りこんでしまった。


「おいっ、ジジイ!! 早く剣を抜けよ!! 周りは戦闘開始しとんのに、ここ二人だけなんもしとらへんやんけ!!」


 痺れをきらした球也は、ついにはヌカーをジジイ呼ばわりにする。


「くっ!! おのれ、バカにしおってぇーっ!!」


 ついに、ヌカーは剣を抜いた。



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