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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 ヌカーの後ろでは、百人ほどの村人が、武器を持って構えていた。


<よっしゃっ!! あのじいさんの後ろにおるザコ共は、うちら最強の精霊に任せ!! 球也はあのじいさん、いったれ!!>


 ソーヤが力をこめると、木や草が、まるで意識があるかのように動きだした。


 水、火、石、風、果実の精霊が身構える。


 村人が動き出した。クワに斧、マサカリ、熊手を振り回し、球也と奈美に向かってきた。


 純化は立ち上がろうとした。自分も闘うつもりだ。


 そんな純化をペタロが支える。


「純化さん……今は二人に任せましょう……我々は足手まといだ」


 純化は無力な自分に対して、泣き崩れた。


 やがて、全身の皮膚がポロポロと崩れだした。


「純化さん……大丈夫か?」


 自分も大変な状態でありながら、ペタロは純化の身を案じた。


 風が強くなる。風の精霊が敵の矢をはね返し、石の精霊が石のつぶてを投げ付ける。


 火の精霊は火を放ち、水の精霊はそれを消火する。


<コラーッ!! 水っ!! 邪魔するなら出てくるな!!>


 ソーヤは木を動かし、敵にぶつける。


 奈美の弓矢も的確にヒットする。


 しかも、命を奪わないように、手や足を狙っていた。


 球也は剣を向け、ヌカーに迫る。


「く……まさかお前と、こんなかたちで向き合うとはのぅ」


「俺も、事が無事に終わったら、あんたにお礼を言おうと思ってたのに……」


「だが、わしがここに武器なしで来たとは思うまい」


 ヌカーは、ポンチョの中に手を入れた。


「最強の素材を手に入れ、それを加工して作りあげた最強の剣」


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