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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

「な、なにぃ?」


 ヌカーはペタロと純化に目を向けた。


 ユングは「よっしゃ!!」と、拳を握る。


 この世界で、カビの怪物、ワラワラの体からまき散らされるカビの粒子が住民の体に付着すると、たちまち難病を引き起こす。


 その特効薬を作れるのは、ペタロしかいないのだ。


「さあ、そこのペタロってのを解放して薬を作らせないと、お前達も大変なことになるぜ」


「う……くそ……」


 ヌカーの真意はこの二人を人質に、球也、ユング達に、もう一度神を始末しに行かせようと考えていた。


 このままでは、自分もワラワラの病原菌に侵されてしまう。そう考えたヌカーは……。


「待て!! じゃ、素直にその容器を渡せ。さもなくば、この二人の命はないぞ」と言った。


 すかさずユングが……。


「じゃ、二人を解放して薬を作らせろ。そのままだとお前らの命が危ない」と返した。


 それでなくとも、ペタロと純化が危ない。


 お互いの要求の出し合いに折れたのは、ユングだった。


「おい、ヌカー。とりあえず先に、ペタロに薬を作らせろ。それまで休戦としないか? その方がお前達も安心じゃないのか?」


 ヌカーはすぐには返事はしなかった。少し考えながら、チラリとペタロを見る。


 かなり辛そうだ。もし、先にこのペタロが死んでしまうと、薬を作る者がいなくなる。


 それに、二人を捕らえていた村人はかなり距離をおいて、武器を突き付けているだけだ。


 しかもまあまあの、間隔で離れているのに、なぜ二人は逃げないのだろう……と思った。



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