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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 それに球也が応える。


「それを確かめに村に戻ったから、コウヤさんは……じゃ、莉子さんは? 症状が出てたんちゃうの?」


「いや、あの人はただのアレルギーだったんじゃないかな。ほこりっぽいワラワラの粉末が鼻腔で悪さしてたんだろ。ま、薬作っても、人間さんに……」


 ユングは言いかけた時に「ハッ!」とした。


 腰に手をかけると、なにかが当たる。


「これって……」


 ユングはそれを引き抜いた。


 それは、塔の上から入れてきた、アビラの水が入った筒状の容器だった。


 奈美がそれを見て言った。


「それって、まだ渡してなかったの?」


「て、ことは……」


 ユングは、ペタロと純化を見た。二人とも、すごい汗だくになっている。


「球也、あのヌカーってやつ、ここの村長じゃないんだろ」


「うん、僕が出発した場所だから、結構遠い所や」


 それを聞いてユングが動いた。


「これを見ろ!!」とユングは水の入った容器をかざした。


 ペタロは項垂れていた、頭を上げた。


「あ、あれは……」


 ヌカーは容器を指差した。


「なんだそれは、まさか爆弾とか言うんじゃないだろうな」


「ある意味、爆弾かもしれねえな。これがなければ、お前らの命にかかわってくるぞ」


「む? どういうことかな?」


「いいか、よく聞け!! お前達が捕らえてるその二人、ワラワラの病原菌にかかっている患者だとしたらどうする!?」



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