テキストサイズ

修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 球也は沸々と、ここに来て初めての感情を出しはじめた。


「ちょっと待ってえな……僕、野球でスランプから抜け出したい思うて、この世界に来たんやで! 闇神言うやつを退治しろって、僕らにほんまもんの神様退治させるつもりやったんかい!! 挙げ句にはコウヤさんや莉子さんまで……騙したんやな!!」


 ヌカーは鼻で笑った。


「人間はすぐ騙される。お前達の世界で、金をやると言ったら、すぐ利用される者がいたから、あの鏡をばらまくのにやとった。ま、おかけでお前達が来てくれたんだが、任務失敗か……役にたたんのぅ」


 それを聞き、奈美が矢を構えた。


「お嬢さん、その矢を放ったら、あの二人がズタズタになりますよ」


 ヌカーは指で合図をすると、村人は純化とペタロに、包丁やクワを向ける。


「卑怯だよ……正々堂々とやりなよ!!」


 奈美の怒りも徐々に、登りはじめた。


 ヌカーの表情が変わった。その顔はまるで、般若のようだ。


「あのペタロと言うポポは、同じフェアリーの一族でありながら、人間との共存を訴えてきた。しかも、その隣のメメは妖精と人間の間に出来た者と言うではないか!!」


 球也と奈美は驚いた。


「純化さんが、妖精と人間のハーフってこと? 純化さん、それほんまなん?」


 球也の問いかけに、純化は黙ってうつむいている。


 ユング思い出した。


「そう言えば、俺がコウヤさんといるときに、カビの化け物のワラワラをつれたジジィがいたんだ。その人の話を聞いていたら、人間にはワラワラの病原菌にはかからないと言っていた。たぶん、コウヤさんは違和感を感じて、この村に戻り、そして消された。菌に侵された純化さんが人間じゃないと思っていたのかもしれない」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ