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修練の鏡と精霊の大地

第17章 村

 球也は表情を強張らせる。


「……誰?」


 老男性はガクッと肩を落とした。


「忘れたのか!? 数日前だぞ!! わしだよ!! お主が出てきた泉がある村の村長の、ヌカーだ!!」


「……」


 球也は黙りこんだ。


「忘れとるな……ま、覚えてなかったらそれでもかまわん!! 聞くところによると、お前達は調子が狂う会話で、スムーズに話が進まないらしいじゃないか。余計なところで時間をかけられんわ」


「ラッキオちゃんは元気ですか?」


「覚えとるやないかっ!! これか、調子狂うのは……」


 ヌカーはやや、イライラしはじめた。


「てか、ヌカーさん家でいただいたお汁粉、うまかったっすよ!!」


「わしも忘れとることを覚えとるではないか!! この勇者、わしと出会った時、こんな感じじゃったか?」


「ところで、そのヌカーさんがなんの用だ!!」


 ユングが話の流れを変えた。


「おう、そうじゃった。気付かせてくれてありがとうな、小さな若者。だが、このニコーを痛めつけたお礼はしなくちゃいけないの」


「いや、こいつ自分で痛めつけてたぞ」


「しかし、右手の指を押さえて痛がっておるではないか」


「だから、それは自分でやったんだよ!!」


「やっぱり、お前がやったんじゃないか!!」


「意味が違うわバカタレ!!」


 ヌカーはニコーに聞いた。


「教えろ。その指はどうしたんじゃ」


 ニコーは苦痛な表情を浮かべ、ユングを指差した。



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