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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

 莉子はワラワラの粉末が入ったビンを、ペタロに差し出した。


「うわっ、こんなにも! ありがとうございます」


 あまりの多さにペタロは驚いた。


「火はだいぶ消えてきたみたい。早く、外に出ましょう」と莉子はペタロと純化に手を貸した。


「でも、私に触れたら……」と純化が心配する。


「大丈夫、人間同士だと感染しないんですって」


 莉子は微笑んで言った。


 すると、ペタロが打ち消すようにこう言った。


「あの、僕と莉子さんだったら感染しますが……」


「ウゲッ!!」


 莉子は感染した。


 さらに本気で「ウゲッ!!」と言ったのも莉子が初めてであろう。


 外では、コウヤとユングが村人と闘っていた。


 ユングが中指を突き立てて言った。


「お前ら、そんだけ人数いてそんなもんか!? 勝ってるのは数だけかよ!! 俺よりでかいのにたいしたことねえな」


 ところが、村人の反応は微妙だった。


「いや……俺達はそんな趣味はないから……あの……そっちは遠慮しとく」


「は?」


 ユングは顔をしかめた。


 すると、中から出てきたペタロがこう言った。


「あの……中指を突き立てるのは、ここでは婚約しようの合図で……相手を挑発するには鼻に指入れて『ボヘッ』と言えば」



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