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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

「や……やってられるか!!」


 ユングは村人に突っ込んでいった。




 一方、奈美と球也は……


「ここはどこから入るんだ?」


 入り口でつまずいていた。





 村で騒動に捲き込まれた莉子、コウヤ、ユングの三人は、村人全員を敵にまわしていた。


 すると、一人の老人が三人の前に現れた。


「お待ち下さい旅の方々」


 怪訝な表情を浮かべるコウヤ。


「待てもなにも、てめえらから売ってきたケンカだろうが。見てみろよ……あれ、村唯一の病院だろう。誰がやったんだ?」と生々しい焼け跡が残った診療所を、指差した。


 老人は深々と頭を下げ、耳に指を入れて鼻の下を伸ばした。


「あぁっ!?」とコウヤが眉間にしわをよせる。



 その行為を見て、ユングが言った。


「コウヤさん、あれは自分も知ってます。あれは、妖精の者が他の村の者に、かなり深く謝罪をするときのポーズです。ふざけてるわけじゃありません」


 コウヤはそれを聞いて気を戻した。


「やばかった。お前の説明がなかったら、あのじいさんに回し蹴りを入れてたとこだ」



 老人は一歩二歩とペタロに近寄った。


「ペタロ、すまない。みんな感染が怖いんじゃよ」


 老人は弱々しくそう言った。


「村長……私はその感染を食い止めるために、彼らに協力をしてもらってます。いま、薬の材料を探している最中です。それが出来れば感染を食い止めることが出来ます」



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