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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

「お前達を焼き払って、ワラワラを全滅させれば、こんな疫病が出なくてすむ。我々は、ワラワラの被害に恐れなくてすむ」


「そうだそうだ!!」


 村人はそうわめき散らすと、診療所の中にまで火のついた松明を放り投げてきた。


「ひ、ひゃ〜、やめろお前達、俺まで焼けてしまうだろ!! 助けてくれ」


 感染した村人が命乞いをする。


「やめろ! 仲間まで殺すつもりなのか!!」


 ペタロが叫ぶ。


「もう、そいつは仲間でもなんでもない。そいつが死んだら、それはあんたが殺したも同然だ」


 感染、それは村人にとっては死に値すること。


 そんな不安を取り除くべく、ここにいる感染者三人とワラワラをすべて始末することを村人は決めた。


「聞いてくれっ!! ワラワラはいろいろな薬を作る、原材料の1つなんだ。根絶やしにしてしまえば、もう薬は作れない」


 ペタロは強く訴えた。


「そんな薬が無くとも、薬草がいっぱいある。我々妖精の知識さえあればなんとでもなる」


「だが、薬草だけでは補えない病があるのだ。それを作って治すのが私の役目だ」


 ゴウゴウと音をたて、炎は広がっていく。周りを火に囲まれては逃げることも出来ない。



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