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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

「光栄です」


 ペタロは嬉しそうに、そう言った。


 病人を励ます立場の医者が、逆に勇気をもらった。


 ペタロは純化に対し、深く頭を下げた。


『パチ……パチ……』


 なんの音だろうか?


『パチ……パチ……パチパチ』


 徐々に音の間隔が狭くなる。


「なんの音だ?」とペタロが室内を見回す。


 純化が何かの異変に気が付いた。


「先生……なんか煙ったくないですか?」


「……まさか」


 ペタロが扉を開けた。


「うわぁっ!!」


 ペタロは声を上げた。


 入り口がすでに炎で包まれていたのだ。


 ゴォーッと言う唸りをあげ、パチパチと診療所の屋根をこがしはじめる。


「なぜだっ!!」


 すると、外から村人達の声がする。


「死を呼ぶ病原菌はすべて焼き払ってやる! 俺達はここを焼いたあと、ワラワラを絶滅させに行く。やつらは火に弱いからな。根こそぎ燃やして根絶やしにしてやるわ!!」


「やめろ!!」


 ペタロの叫びは届かない。


 もくもくと、黒煙が部屋に入ってくる。


「うわぁっ!! なんだ!! なんでこうなった!?」


 感染して奥で休んでいた男が、飛び出してきた。



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