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修練の鏡と精霊の大地

第9章 病

「酷い……」


 純化はそう呟き、唇を噛んで嘆いた。


「それだけ、この病気は嫌われてるんです。触れるだけですぐ感染し、風がある所では空気感染だってあり得ます。だから、あいつはワラワラって呼ばれてるんです」


 純化は説明されても、そのワラワラの意味がわからなかった。


「みなさん、早く戻られるといいですね」


 ペタロは笑顔でそう言った。


「はい……なんか、まだ2日3日ほどしか一緒にいてへんけど、みんな仲がいいし、あの奈美ちゃんもユングさんも、みんなええ仲間です」


「羨ましいです。私はずっと一人でしたから、仲間と呼べる者が誰もいないので……」


 ペタロはそう言って机に向かった。


 純化はそんなペタロの後ろ姿を、ジッと眺めていた。


 そして、ふっと視線をはずすと、天井を見上げて言った。


「ペタロさん、一人やないよ。うちらの旅が無事に終わったら……ペタロさんも同じ戦友や。ワラワラって病気と闘った戦友やで」


 ペタロはそれを聞いて、少しはにかんだ。


「戦友か……いい言葉です。私も皆さんの仲間に入ってるんですね」


「みんながNO言うても、うちが認めてるさかい」



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