
オオカミさんの恋毒
第1章 出会いと挨拶
花屋ルーリーに就職してから よほどのことがない限り、私が店を回すことはなかった。
それだけに私は変に気合いが入り、そのまま事務所に寄ってから店に向かう。
現金の入ったバッグを抱えて店に行く途中で後ろから声をかけられた。
「 おはよう、葉月ちゃん」
「 寺沢さん!おはようございます 」
寺沢 有史は美容室セラフの隣の店舗で 雑貨屋の店長。
私がルーリーに来てから 知り合い 妹のように 何かと気にかけてくれる優しく明るい人。
「 今日は瑠璃さん休みなんです 」
「 そっか、忙しくならないといいね。時間あったら息抜きにおいでよ 」
「 はい!」
雑貨店で寺沢と分かれセラフの前を通ると、明るい声が私を呼び止めた。
「 葉~月ちゃん!おっはよ!」
「 京弥くん、おはよう。元気だね 」
昨日 確か チューハイ飲んでたよね…
大丈夫なのかな?
「 今日さぁ起きたら頭痛かったんだよねぇ 参った 」
そのわりには元気ね…
「 無理しないように水分取って仕事頑張ってね!」
笑みを見せ言うと、京弥は店のカウンターから出てきて 両腕を広げて私に向かってきた。
「 葉月ちゃん、好きーっ!」
「 えっ!きゃ…… 」
一瞬 身構えた時、京弥 の広げていた腕が私を捕まえない。
「 京! こいつに触んなって昨日言っただろうがっ 」
「 臣くん… 」
「 臣 ごめん~ 葉月ちゃんが嬉しいこと言ってくれるからさ、つい… 」
あ、そんな… 私が悪い?
