
狼くんを飼いますけど…
第3章 同居者
「 店長、なんですか?」
「 あんた頑張ってるから 時給をね 上げてやろうと思ってさ 」
マ、マジで!?
「 店長~ 感謝感激!嬉し~ ありがとうございますっ 」
「 まぁ、少しだけどさ 」
十分だよ~ やれば報われるって これだよね。
心が寂しくても財布があったまればいいや。
「 今日は夜も入ってるよね、閉店したら 宴会やるからね~」
「 そうなんだ、うん、飲みます!」
私は気を引き閉め 仕事に戻ると、他の従業員にも新年会の事を告げた。
ランチタイムの時間が慌ただしく終り、私は洗い場を済ませて一旦自宅に戻る。
「 じゃあ 夜にまた来まーす 」
店にいる店長に声をかけると、何かを取り囲むようにして話をしている。
何だろうと 店員の坂野 美也のそばに寄り聞いてみる。
「 美也ちゃん、どうしたの?」
「 最後のお客様なんだけど なんと、今時にして 無銭飲食です!あり得ないわぁ 」
無銭… まさか、ホームレス?
「 あんな若いのにホームレスっぽいですよ、やだやだ、いくらイケてても やだ!」
「 イケてるホームレス?」
どんな顔してんだろ…
なんでまた無銭なんか、度胸あるじゃん?
店長の烏丸が警察に届けようか悩みながら、若者を気の毒に思って みんなに意見を求めてきた。
警察につき出すべしと、今回だけ見逃してやろうと、意見は分かれる。
そんな時、なぜかはわからない。
わからないのに、口から出てきた言葉。
「 私が ランチ代おごります 」
…バカだな、私。
