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第16章 カレントが運んだ切ない夜

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう?あ…ごめん。あたしとじゃ嫌だよね…。」

華が身体を起こして、毛布から出てきた。

「そんなこと無い!」

思わず出た大きな声が、洞窟に響いた。

…そんなこと…ある筈が無い。

「あたしは充分温まったから、真啓入りなよ。」

華が僕の腕を引っ張った。

「ほら…わっ。とっても冷たいじゃない!」

華の手はポカポカとして温かかった。

「駄目だよ華ちゃん入ってて!」

「真啓が入らないなら、あたしも入らないっ!」

…華ちゃん。

「仕方が無い…ふたりで、レッツやせ我慢大会。」

僕は思わず噴き出した。いつもの華に戻ってホッとしたけれど、華は本当に入ろうとしなかった。

「わかっ…た。一緒に入るよ。華…こそ…僕とじゃ…嫌じゃない?」

華が無邪気に笑ったのをきっかけに、再び僕の中で騒ぎ始めた衝動。

「真啓なら…良いよ。ううん…真啓で良かった。」

---ドキッ。

華はそんなつもりで言っている訳じゃ無いと思いつつも、不穏でよこしまな妄想が、僕を苦しめた。それは入道雲のように膨張し始めた。

「あ…じゃ…あ…先に…入って…て?他に何があるのか箱の中を全部確認してなかったから。」

考えてはいけないと思えば思うほど、絡め取られそうな自分がいた。華に向けている背中が自然に丸まってしまう。


…薄暗くて良かった。

立ち上がって、再び箱の中を探すとチョコレートが入っていた。ざわついていた気持ちも体も落ち着いた。

「華…良いもの見つけちゃった♪」

先に潜り込んだ華に渡した。

「わぁ♪チョコレート。半分こして後で食べようね。」

僕はゆっくりと華の隣に入った。ふわりと温かな空気が動くのを感じた。背中を向けて、毛布とシートに包まった。

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