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第16章 カレントが運んだ切ない夜

「凄く冷えてるじゃない!」

華が僕の背中を温かな手で擦った。それだけで、キシギシとした感覚に下半身が再び支配されていく。

「普通は男の人の方が筋肉が多いから体温が高いんだって。だからきっとあたしよりも寒かったでしょう?ごめんね。」

僕は華と少し距離を置いていた。

「ねぇ。それじゃちゃんと入ってないじゃない。もうちょっとあたしの方に来ないと寒いでしょう?」

じりじりと僕は背中を華の方へと近づけた。華と背中がくっついた。

「こんなんじゃ凍えちゃうよ。ごめんね…あたしばっかり。ちょっと待ってね。」

華が起き上り、僕の上にしっかりと肩を包むように毛布を被せてた。

「よいしょ…はいこれで大丈夫♪」

しっかりと包まれている間、背中に柔らかいものが当たった。

…!!!!

思わず腰が引けてしまった。

「そうだよ…最初から遠慮せずにこっちに来れば良いのに。」

…華ちゃん…そういうことじゃないんだよ。

華は無邪気な顔で僕に微笑んだ。僕は気分を変えるために、ラジオの音を大きくした。

「あっ…この曲聴いたことがある♪なんていう曲?」

…ああ~よりにもよってこんな時に。

「ショパンのピアノ協奏曲第2番だよ。」

「ふーん。題名聞いても忘れちゃうんだけどね。」

…なんでこの曲?切なさが増すじゃ無いか。

「ショパンが片思いの相手に送った曲だよ。」

僕はため息をついた。

「ねぇ。お腹空いたね。さっきのチョコレート食べよっか?」

華はゆっくりと起き上ったが、冷気に晒されて思わず身震いをして、さっと頭の上のチョコを取ると再び毛布の中に包まった。向かい合わせに寝ているけれど、不思議と今は大丈夫だった。

「今日は、横着オッケーって事で…寝ながら食べよう♪」

僕は華のくるくるとよく動く目や、くしゃっと笑うと鼻に皺が出来るところが好きだ。

…そしていつも華を見ていると元気が出て、笑顔でいられる。

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