
His←♥→I
第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
“駄目だよ”なんて、制止の言葉にしちゃ軽すぎる。
智「...っ」
“待って”なんて、それこそ制止の意味を含まない。
智「翔...っ...」
だから翔は、俺の後ろに這わせた指に力を込める。
翔「大丈夫、解すだけだよ...」
制止の意味を成すのは“やめろ”、その一言だ。
どんなに潤んだ瞳で翔を見たって、その言葉を発さなければ意味が無い。
智「っふ...」
“駄目”と言っても俺の眉はせつなく歪んでるし、“待って”と言ってもこの唇から漏れる吐息は甘い。
なら待たない。“やめろ”と言わないんだから止めない。
熱を湛えた翔がそう思うのも当たり前なんだ。
智「っあ...、そ、そんなこと触っちゃ駄目だって...」
翔「前に調べた事あるから大丈夫...。俺に任せて...」
ゆっくりと俺を揉み解すように後ろを撫でる。
そんな翔は“やり方を調べた”と言う。
智「っは、ぁ」
調べたってなんだよ。
聞きたいのに、もはや俺の唇からは浅い呼吸音しかしない。
翔「力を抜いた方がいいらしいよ」
抜けるかバカ。
翔「柔らかくしなきゃ駄目らしいから」
らしいってなんだ。
お前ひょっとして初めてか?
翔「...そうだよ。俺も、こんな事するの初めてだよ」
心の声が聞こえたのか。
翔「だって貴方に出会うまでは、男に興味なんて無かったからね」
そう言えば、そんな事言ってたな。
翔「俺も大人だし、今まで彼女くらいは居たけどさ」
まあ、そうだろうな。
翔「でもなんか燃えなくて」
恋愛に興味が湧かないって言ってたし?
翔「だけど貴方には」
ちらちらと目線をあちこちにやってたのに、俺の話になった途端真っ直ぐ俺を見るんだ。
翔「凄く、興味が湧くんだ」
素っ裸で押し倒されて。
翔「ドキドキして仕方ないんだよ...」
なんなら滑りを纏った指を俺の後ろに這わせながら。
翔「こんな感覚、初めてだ...」
こんな状況で言うような事でも無いだろう。
それを言うならきちんと服を着て、立ったままでとか、ソファーに腰掛けながらとか。
そこを全てすっ飛ばしてこんな状況で告白してくる。
俺の高鳴る鼓動が一瞬止まりそうになったのは、そんな状況に困惑したからだ。
絶対、そうなんだ。
