
His←♥→I
第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
智「しょ、翔くんの事は嫌じゃないけど、困ってる」
再び俺に熱を持たそうとする翔に伝える。
翔「...どうして?」
当たり前だろ。
何故分からないんだ。
智「だ、だってこんな事、想像した事も...」
翔「ない?」
智「当たり前だよ...」
俺の胸に這わせていた唇を離し、翔は俺を見つめた。
翔「俺もだよ」
智「え?」
翔「俺も、自分がこんな感情を抱くなんて思っても無かった...」
どういう事だ。
智「...さっき言ってたじゃん。男に興味無かったのは、前の話なんでしょ?」
翔「つい最近だよ」
智「は?」
翔「...智くんに会うまでは、そんな事思わなかった」
つい数日前に会ったばかりで、翔の事なんて殆ど知らない。
それは翔だって同じだ。
俺の事なんて全く知らない筈なのに、俺を見る翔の瞳は、そんな事を全く感じさせないんだ。
翔「俺は、貴方に恋をしたみたいだよ...?」
智「え...?」
そんな最近会ったばかりの翔は、俺に恋をしたと言うんだ。
翔「その笑顔に、掴まれたんだ」
真っ直ぐに俺を見て言う翔は、嘘をついている様には見えなかった。
真剣な顔であまりに真っ直ぐ俺を見るもんだから、驚いて瞬きするのを忘れてしまった程だ。
翔「そうでも無ければこんな事」
智「翔く、ん」
翔「説明が付かないよ...」
俺はこの状況に説明を付ける為に、結婚をドタキャンされた事への傷心のせいだと思う事にした。
翔「...一目惚れって言うのかな。こんなの初めてだ...」
だけど翔はこの状況の説明を、俺への恋だとしたんだ。
翔「やっぱり、困る...?」
だから眉をハの字にするなって。
智「困らない、よ...」
ほらな。
困るとかどんな顔して言えってんだ。
智「言ったでしょ。偏見なんて持ってない...」
あ。しまった。
翔「ふふ」
翔に自信を付けてしまった。
智「や、ま、待って」
困らないと言ったのは、翔の気持ちに対してだ。
だってさっきの質問はそういう意味だろ?
智「ちょ、しょ...」
俺の顔を見ただけで、困ってる事が分かったんじゃなかったのか?
分かったならどうして、待てと言ってるのに待たないんだ。
俺もどうして、やめろと言えないんだ。
