
His←♥→I
第1章 SO~小人×一般人~進撃の小人編~
智「んぅ...」
閉じた目を今更開けても遅い。
智「ふ...」
こんなに主導権を握られたキスなんてした事があっただろうか。
智「ん、翔く...」
翔「...嫌?」
別に嫌という感覚は無い。
智「嫌って訳じゃ...」
驚きはしたけど、嫌かと問われると、特にそういう訳でも無かったんだ。
智「っ、あ」
嫌じゃないと答えると、翔は徐ろに俺の熱を掴んだ。
翔の熱と俺の熱を同時に、擦り合わせる様にそっと掴む。
智「翔、ま、待って」
翔「嫌じゃ無いんでしょ...?」
俺は翔の事が嫌ではないと言ったんだ。
こんな事をされたからと言って、翔が嫌になったと、そういう訳では無いと伝えたかったんだ。
智「そう言、う意味じゃな...」
翔「...同じでしょ? だって、ほら」
智「...っ、ふ」
俺はすっかり翔に対して反応してしまっていた。
その俺の反応を、翔は優しく握るんだ。
智「っは...、翔、く」
その擦り合わせた熱に俺の身体はゾクゾクした。
初めての感覚だからなのか、それとも翔の妖艶な吐息にやられたのか。
翔「智くん...」
熱を擦り合わせながら、翔は俺の耳に息を吹き掛ける。
分かってやっているのだろう。
その低い声はセクシーで、心臓がドキッと跳ねるんだ。
智「あ...、駄目だって...」
胸の鼓動が翔に伝わりそうで隠したかった。
離れてバレないようにしたいのに、翔の体に阻まれて俺の足は閉じる事も出来ない。
それどころか翔の倒した体は俺にぴたりと密着し、柔らかい唇を俺の首筋に擦り付けている。
翔「どうして...?」
智「会ったばかりでこんな...」
翔「会ったばかりじゃないよ。もう数日一緒に過ごしてる」
男が言う台詞でも無いだろう。
分かってても、俺の口からは女が吐くような台詞しか出て来ない。
智「ん...っ...」
意図しない吐息を漏らしそうで、俺は抑える。
でも必死で堪えてるのが翔には分かるんだろう。
ピクッと震わせた眉を、クスッと笑いながら指でなぞってくるんだ。
こんな経験は初めてだし、動揺するのも当たり前だ。
なのにその動揺を、翔は更に煽ろうとするんだ。
