
大切な人へ
第36章 私と音楽
選考会の前に最後の練習で集まった
バンドのメンバーと...あと3人
「美優がバンドで歌ってるの見たかったの!
選考会は部外者は見れないしね~」
紗羅が2人を連れてきたらしい...
井川くん何も言ってなかったよね?
「俺たちの事は気にしなくていいから...頑張って」
彼の微笑みにタオルで口元を隠してうんって言った
後ろから美咲ちゃんがクスクス笑ってるし...
選考会では1曲全部とあと2曲を1番だけ発表する
だから始めの1曲がすごく大事‼
もう最後だから私もガンガンアレンジを入れて
みんなが私に引っ張られないように指示を入れた
本気で歌うとたった5回で声が枯れてきて休憩...
「凄いけどさ...そんだけで喉痛めて大丈夫?」
息を切らす私に水をくれた井川くん
『本番は多くても3曲だから大丈夫‼』
って言った私の声がガラガラでみんなに笑われた
「先輩は全力投球でしたもんね
コンマスの時なんかみんな結構引いてましたし 笑」
コンマスとは演奏者の中のリーダーで 音を合わせたり
第2の指揮者にもなったりするポジションだ
嬉しそうに私の昔の話をしてくれるのは有難いけど...
懐かしくてちょっと寂しくなるからさ
話す途中の彼女を引きずって練習に戻った
