
大切な人へ
第36章 私と音楽
2時間近くしてから解散になったのはまだ午前中で
井川くんはうちに来て一緒にお昼を食べた
「本当に音楽が好きなんだな
...辞めて後悔とかしてないのか?」
声が枯れた私は 笑って首をふった
『辞めたから他に目をむけられたの
それに...今の自分好きだからいいの』
そっかって優しく笑ってくれる
「でも好きなら趣味にすれば?それ一筋じゃなくても
楽しむのも有りだろ。歌ってる時楽しそうだった...」
そう言って頭を撫でてくれた...
趣味...かぁ
そんなの許してくれるかな...お母さん 笑
『美咲ちゃんが言ってたの本当でさ...
全力投球で音楽してきたけど それって
母親の影響なの。完璧主義っていうか...プロだったし
それを趣味になんて...』
だから中途半端は怒られる気がしてたんだ
小さい頃の母の姿が浮かぶ...
「やるなら徹底的にやりなさい!」
お母さんよく言ってたな
普段優しいお母さんはそんな時はすごく厳しい人だった
お陰で集中力もついたし頑張れた
かっこいいって思って憧れてた
『わたしね?お母さんみたいになりたいっ』
自分が言ったことなのに 忘れてた
「美優はお母さんとは違うだろ?
勉強も料理も歌も...美優が得意なことは他にもある
同じようにしなくていいんだって
自分らしくしたいようにすればいいんじゃないか?」
彼も野球は好きでやってるけど家族に野球好きは
元々いなかったらしい...健くんの陸上も同じだそう
でも好きで楽しんでやってたら応援はしてくれるって...
そういえばお母さんって
ちょっとお料理は苦手だったね 笑
