
大切な人へ
第17章 雨の終業式
「制服が新しいのって...」
そこで言葉を詰まらせる
『やぶられた...でもっ...
最後までされたわけじゃない!
抵抗したら叩かれたけど
音とか聞いて人が助けに来てくれた』
誤解されたくなくて本当のことを言う
『お願い...紗羅たちにも 野球部の人にも
誰にも言わないで...』
みんなに知られたらもう学校行けない...
「言う訳ないだろっ!」
彼は切ない声でそう言って
私を抱きしめた...
彼の胸からまた香水の匂いがする
私が泣くと彼は抱きしめてくれるらしい
普段は口も悪くて意地悪なくらいなのに...
でも優しいってことも知ってる...
だからこんなに落ち着くのかな
全然いやじゃない...
涙が止まり 私の呼吸が落ち着いた頃
そっと離してくれた...
『みんなは...気付いてないかな』
「多分大丈夫。さっき言ったことも
誰にもいってないから」
『ありがと よく気付いたね?制服とか...』
彼はふっと笑って
「どんだけ見てきたと思ってんの?
スカートもちょっと長いし」
『どんだけ見てるのよ 笑』
