
大切な人へ
第17章 雨の終業式
『あの...うそって何?』
食事を終えて片付けてまた部屋に戻ってきた
「いっぱいありすぎて 笑」
私にも心当たりがありすぎて...分からない
「...先週休んだのって 本当に風邪?」
ドクン...
「前田って奴、1年の時野球部だったんだ」
__なんの話し?
「先週の木曜にそいつとその友達の山下が
退学になったって聞いた...」
うわ...やっぱり…
2番目に知られたくなかった事だ
「普段から万引きとか喧嘩とかあったけど
決め手は女を暴行したからって...教室で」
下をむいてぎゅっと握る手に力が入る
「女を?って...野球部で話題になった
そしたら...その次の日からお前が2日も休んだ」
「今日帰り際、声震えてた。
制服も新品だっただろ?あとケガって...」
もう言わないで...
「...そうなのか?」
違うって言わなきゃいけないのに__
震える唇から出てきた言葉は
『言わないで...お願い 誰にも言わないで』
涙がポタポタと彼の体操服を濡らす
「はぁーーーー」 バンッ!!
彼の大きなため息と机をたたく音...
