
大切な人へ
第17章 雨の終業式
おーい!と下から呼ばれて行くと
キッチンの机の上に食べ物が並んでる
『ごめん...ずうずうしいこと言った...』
今度は私がへこむ
「は?いいって。ファミレス行けなかったし」
どれがいい?なんでもいい。の繰り返し
じゃあこれ!ってレトルトミートソースを取った
私やるからって言ってお鍋とザルを借りる
「普段料理とかすんの?」
後ろで座って不安そうに聞く彼
『ほぼ毎日やってます』
意外だったらしくちょっと笑ってるし
「家族の分作るの?」
『私1人暮らしだから』
明るく普通に言うけどびっくりされる
まぁ...そうなるからみんなに言わないんだけど
『実家ちょっと遠いから。高校からね』
これは本当だしね
「じゃどんくさくてもやるしかないか」
『私そんなにどんくさい? 笑』
「うん。運動もうそもへた」
うそも...?
パスタが茹で上がってお皿に取り分ける
私は井川くんの半分くらいの量にした
彼のさっきの言葉が気になる...
「とりあえず食べなよ」 うん...
何?もしかして先生のこと?
気になって味が分からなかった...
