
大切な人へ
第16章 優しい愛情
『先生…お願いがあるの』
土曜日の校舎の中は静かで
私たちの足音が廊下に響く
どうしても怖くて…一緒に教室にきて欲しかった
『みんな…本当に何も知らない?』
「知らない。渡辺さんも風邪心配してたよ」
『2人が…退学になった理由とかは?』
「問題も多かったから…
いつ辞めても退学になってもおかしくなかった」
そっか…
自分の机には沢山プリントが入っていた
それを鞄に入れて科学室に行った
ここがやっぱり一番落ち着く…
私はさっきのプリントの問題を解いていき
先生はパソコンに向かって仕事をしてる
会話はないけど同じ場所で集中する…
カタカタ聞こえるとキーボードの音が
不思議と安心した 先生がいるってわかるから
ちらっと彼を見ると
真剣な顔でPCを見ていた
「科学のわからないとこあった?」
『あ…大丈夫そうです』
「優秀だねっ 試験も100点だったし
美優の言った通り…ちょっと心配してた
食事作ってもらったり一緒にいる分
勉強の時間さいてるんじゃないかなって」
『大丈夫。必要な時はちゃんと言います!
だから先生も約束して欲しい…
私の為に無理はしないで…お仕事は大切です!』
「はい。ありがとう」
彼はふわっと笑った
