ただあなただけを見つめる
第24章 生きること
「あーあ…ひまわり枯れかけてんじゃん。
なんか花瓶ねぇの?」
床に散らばった向日葵を拾い、花瓶を探す旭さん。
死にかけた向日葵は今の私と少しだけ似ていた。
「向日葵も愛する人がいないんだよ……」
「は?」
キョトンとする旭さんを見て、私は話しを続ける。
「向日葵の花言葉って知ってる?
“私の目はあなただけを見つめる”って意味なの。
向日葵は太陽だけを見るでしょ?太陽が恋人なんだよ。
太陽がいなきゃ輝くことなんてできない。
暁は私を“向日葵みたい”って言ってくれたことがあったんだ。
私が向日葵なら暁は太陽……
太陽がいなくなった向日葵に生きる気力なんてないんだよ……。」
しおれた向日葵をボーッと見つめる。
旭さんは向日葵を水を入れた少し大きめのグラスに差し込んだ。
「“夏帆は向日葵”…ね。
太陽がいないと輝けないか…
そうかもしれないね。
じゃあ俺は水になるよ。」
「水……?」
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える