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異彩ノ雫

第258章  恋文 (三十四)




私の秘密を教えましょうか


2年前の秋の夕暮れ
譲り合ったカフェのシートで
あなたが
とても懐かしい人に思えたの

その時
あなたの瞳には
遠い昨日の私が映っていたのよ


覚えていないかしら
幼い頃ひと夏だけ一緒だった海辺の町

自転車 魚釣り 桜貝…
みんなあなたが教えてくれた


ねえ
今また私の隣で微笑むあなた
長い長い時を越えて
めぐり会えた今だから
秘密をそっと打ち明けたいの



あなたは わたしの
初恋の人…







(了)




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