
天然執事はいかがです?
第2章 菜月の日常
「うん?」
惚けたカンジの菜月に舞弥は訊く。
「……殺ったの?」
「半殺しね?殺っただと殺したみたいじゃん!!」
ケラケラと笑う菜月に、舞弥は驚きを通り越して引いていた。
「だってさ、急いでんのに、道塞いでるとか、めっちゃ邪魔じゃない?
それにちょっと見てただけでブスとか言ってきてさぁ…
気が済むまでボコボコにしてやった☆」
彼女はグーパンチをお見舞いしたことを表すように、笑顔で拳を舞弥に見せてくる。
菜月は今は亡き祖父から、自分の身は自分で守れ、と教わっていたため、武術に長けている。
特に合気道に力をいれており、技のキレは門下生一である。
「あんたがやったらボコボコで済まないでしょ……」
表現するなら車に引かれた、ってカンジかな。
今朝皆が言ってたのは、やっぱり菜月の仕業だったのか………
廊下ですれ違うたびに、
『隣の学校の不良達の顔見たっ!?』
『見た見たッ!!熊にやられたみたいだったよね!!』
『顔が二倍以上に腫れてたよな』
『しかもなんかうちの生徒にやられたとか叫んでたよな』
やりすぎでしょ…と呆れながら、舞弥は菜月を見てからじゃがりこを口に運んだ。
