
天然執事はいかがです?
第2章 菜月の日常
2年2組の教室に自分の後ろの机に突っ伏す寝癖の頭の少女がいた。
「………ダルい」
三時間目が終わった後の菜月の第一声がこれだ。
「菜月だいじょぶかー?」
菜月の友達で後ろの席の主の舞弥が声を掛けた。
「舞弥ぁ…腹減った……」
同時に、本当に空腹であることを知らせるように、私の腹は鳴った。
それを聞いて、舞弥は腹を抱えて笑い出す。
そんな舞弥の反応に私は顔をあげ、頬を膨らませた。
「そんな笑うなしぃ……」
「悪かった悪かった!!
じゃがりこあるけど食べる?」
「食べる食べる!!」
菜月は目を輝かせ、椅子の上に正座した。
舞弥は机の脇に掛けたバッグから緑色のパッケージをしたじゃがりこを取り出した。
サラダ味は私がじゃがりこの中でも一番好きな味だ。
丸い蓋を半分まで剥がし、舞弥はじゃがりこを私に差し出した。
「どうぞ」
「いただきま~すッ!!」
口にすると、ガリガリと音がする。
「美味しいねー」
「んー。美味いッ!!
つーか聞いて。今朝さぁ、通学路でモヤシみたいなうちの制服着た男子が、他校の男子数人に集金されたのさ」
「うん…モヤシってどんな表現なのよ…
てゆーかあんたまさか……」
