
愛は要らないから…
第14章 俺のもの
「いい加減に」「図星だから怒ってるの?」
「………」
その言葉で
無意識に体をのりだし
俺は荒井の胸ぐらを掴んだのに気づき
手を離した
「今日も跡つけられちゃってさ…」
「っ!帰る…!」
もう話しすぎたくらいだ
余計だったのかもしれないくらいに
俺は鞄をガッとつかんで席を立った
「今のままじゃ、他の人に取られるかもしれないよ!いいの!?」
そんな言葉を背に
俺は歩く足を止めも、緩めもせず
そそくさと店を出た
別にいいに決まってる
大和に彼女でも彼氏でも出来れば
そしたら、ちゃんとした兄弟に戻れるし
逃げて
何が悪いわけ?
