
アップルパイと君の隣で
第16章 あまい思い出
〔佳奈サイド〕
じーっ
隣でアイスクリームにかぶりつく先輩を眺める。
「先輩」
「何?」
先輩はそんな私を訝しそうに見つめて返事をする。
そんな表情も可愛いななんて思いながら悩む。
最近は涼しい日も増えてきたが、今日は随分と暑い。
そして、今日は遊園地デートに来ていた。
のだけれど、先輩の様子がおかしい。
おかしいと言うほどでも無いかもしれないが、普段とは違う感じがする。
何がと聞かれれば分からないのだが...。
「私が先輩の事を分からないなんて...っ!先輩マスターの称号が剥奪されちゃいますっ!!」
結局、お手上げ状態になった私はそう言って先輩に詰め寄る。
「そんな称号あげたつもり無いんだけど…」
「うぅ...っ先輩本当はデートするの嫌なんじゃないですか?」
先輩は人混みが嫌いみたいだったし、私がデート場所にテーマパークを選んだのが良くなかったのかもしれない。
