
アップルパイと君の隣で
第16章 あまい思い出
デートらしい場所というだけで直感で決めてしまった事を後悔する。
「はぁ?何でそう思うの?」
「だって!先輩なんかいつもと違うっていうか...」
「佳奈ってやっぱり阿呆よね...」
先輩はそう言って溜息をつく。
「先輩っ!そんな深い溜息つかないで下さい!」
幸せが逃げますよ!と先輩に詰め寄る。
やっぱりって普段から阿呆だと思われていたのだろうか...。
地味にショックだ。
しかし、今は沈んでいる場合ではない。
「そうじゃないなら何なんですか…?」
「...佳奈。アイス溶けてる」
「え?」
先輩に指摘されて見るとアイスクリームが溶けて私の左手を滴り落ちていた。
全然気が付かなかった...。
「あぁもぉ。勿体ない」
先輩はポケットティッシュを取り出すと食べかけのアイスのコーンを口に咥えた。
先輩は少ししゃがんで空いた右手で私の手についたアイスクリームを拭う。
