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異世界での出来事

第2章 ここはどこ?

「次の召喚は、いつ頃になるんだい。」

国王が賢者に問いかける。

「もう、できません。召喚魔法は一人一回しか行えない儀式でありまして。」

「そうか。できぬか。」

勇者を諦めなければならない事実を突きつけられた。

「そう簡単に勇者など作れないんだな。」

「すべては、私の責任です。如何なる処罰でも、甘んじてお受けいたします。」

「もうよい。これまでにも成功例はないのだから。」

「大昔の文献にも、失敗例が記載されていましたし。」

文官が助け船を出す。

「召喚した者の今後はどうするのじゃ。」

「戦闘で使えない者を城に居く余裕などありません。」

財務官の強い口調。

「では、召喚者については、賢者に全てを任せる。彼も犠牲者だからのー。手厚く保護して送り出してやるがよい。」

「勿体ない御言葉、ありがとうございます。」



御前会議とも言える、王国閣僚会議のあと、賢者は3日掛けて龍之介の今後を考えた。

その3日間、龍之介は、城で見習い下働きを命じられていた。

働かざる者、食うべからず。

当然、城の客室からは追い出され

外見だけは立派な、ボロい共同住宅。個人の部屋などなく

1階が男性用。2階が女性用となっている。

各階、大広間がひとつのみ。

そこで寝食を共にしながら、掃除、洗濯の日々を過ごした。



掃除は、皆さんが嫌がる、閣僚階。そう、客室のあった階。

新米なので押し付けられた。

その階に行って、掃除をして、皆さんが嫌がる訳が判った。

どの閣僚の部屋も、シーツは、汚れに汚れていた。

おおきなシミができてるし、カピカピになっているものやら。

臭いまで嗅いでみる。チーズの腐っている臭いに、いか臭い。

これは覚えのある臭い。そう、精子の残留物。

すべての部屋で確認された。

全ての閣僚のシーツ替えを済ませ、洗い場に行く。

ここも異様な臭いは発していた。

手の先から水をだし、洗浄していく。

最初はチョロチョロだった水も、使い込めば高圧洗浄まで出来る。

ゴシゴシ洗わなくてすむ。

なんとも、順応性の高い龍之介であった。

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