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異世界での出来事

第2章 ここはどこ?

(おまえは、魔法は使えん!)

賢者のじいさんが言った言葉を思い出していた。

(でも、生活魔法は使えるのに、魔法ではない。これいかに。)

「剣術かぁ!剣道も習ったことがないのに。」独り言を言う龍之介。

期待はしないほうがいいよなぁ。

昼飯を食べながら、息消沈。

食堂で働く人の俺を見る目が冷たい。

(勝手に召喚して、勝手に勇者にしたのは、俺ではない。)

俺は、被害者だ!

また、賢者のじいさんが召喚すればいいだけだろ!

落第生は、早く返してほしいね。



訓練所に着くと、王国騎士団が出迎えてくれた。

騎士団の団長さんと挨拶をし、木刀を貰う。

「では、剣術を始めますか。」

まずは、Cランクぐらいから始めてみるか!



「よろしくお願いします。」

「はじめ!」

最初は恐がっていたCランクだったが、勇者の腰構えで冷静を取り戻す。

(相手の木刀が速すぎて見えない!)

腹に衝撃を受けたかと思った瞬間。意識を失ってしまった。

「5秒もたなかったか。」

「団長!こいつ、本当に勇者なんですかね。」

ランクAの団長には解る。剣を持っただけで、相手の実力が。

「初心者だな。」団長の一言で終りを告げた。

龍之介、剣術:ランクF。





魔法:ランクE。剣術:ランクF。

王国閣僚会議に提出された「報告書」を見つめ

国王が苦笑いする。

報告書の最後に、こう述べられていた。

「戦闘では使えない。ただの一般人。」

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