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なぜ?

第12章 秘密2

ぼんやりと病院のベットで寝てるとテレビからalmazが流れてきた。
昔聞いた時には何とも思わなかった曲が、不思議と心に染みた。
それから、almazを聴く度に、私のところに来たばかりに死んでしまった子供のことが思い出された。きっと私が心から愛したであろう子供。たった一人の家族になるはずだった子供。ごめんなさい、私のところにさえ来なければ、生を受け、幸せになっただろう。申し訳なくて、淋しくて、ずっと泣いていた。


「名津子、久しぶり。」
ジョディと一緒に伯父が病室にやって来た。私にも家族がいたことを思い出した。
私はジョディに支えられ、新たな人生を歩むことにした。


ジュノさんには決して知られたくない。
知られたら、絶対に嫌われる。ジュノさんがいなくなったら、今度こそ生きていけない。



「名津子、寝てる?」
深夜お風呂から出て部屋に戻ると、名津子はベットで寝息を立てていた。

起こさないように布団に入ると、すぐにすり寄ってきた。
腕枕をして、髪を撫でてやる。

「ジュノさん…」
呼び捨てにしないってことは、エッチな気分じゃないってことか。
たまにはいいかと思い、せめてキスだけでもしようと顎をあげさせた。


泣いてた…?
頬に乾いた涙の後があった。

口に近づけた唇を、おでこに移し、キスを落とし、抱き締めた。


なあ、名津子。オマエは何を隠してんだ?
俺は、何を言われても、名津子から離れないよ。

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