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果てない空の向こう側【ARS】

第10章 ワンダフル・ワールド(潤)

二人だけの店内、ジャズとハサミの音だけが響く。

いつも威勢のいいジーは、まな板の上の鯉みたいにおとなしく座ってる。

ジーの髪は直毛だけど量が多くて。

俺はそれを迷うことなく梳いていく。

ジーが俺に委ねてくれたから、俺は全力で俺好みのジーに仕上げていく。

キョロキョロと不安げなジーを見てるのも楽しかった。

カットが終わり、ストレートに髪をブロウしていく。
最後にヘアアイロンを当てたら、ツヤのあるサラサラヘアに仕上がった。

潤「できたよ、どう?」

俺は手鏡を手に、ジーに仕上がりを確認した。

ジー「すごいサラサラだ…。しかも、なんか垢抜けたみたい…。」

潤「だろ? 内側の髪を梳いて、空気感出してみたんだ。似合うよ。」

ジー「ありがと…。」

ジーはしばらく鏡の中の自分をのぞき込んでいた。

ジー「そうだ、いくら? 」

潤「お金? いらないよ、カットモデルだもん。こっちこそ、練習台になってくれてサンキュ。」

でも、ジーは納得がいかない様子だった。

潤「……、わかったよ。じゃあ、今からデートしてよ? ジー、車だろ? ドライブしようよ。」

ジーは、しばらく考え込んでから、小さくうなづいた。

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