
果てない空の向こう側【ARS】
第10章 ワンダフル・ワールド(潤)
マスターは床に倒れこんだ。
ステージ上のピアニストは、チラッとこちらの騒動に目をやったが、素知らぬ顔をして演奏を続けた。
潤「何だよ、あいつ!」
立ち上がった俺をジーが静かに制した。
ジーはヤクザの前に立ち、おだやかに言った。
ジー「兄さん、今ピアノの演奏聞いてんだから、静かにしてくれない?」
男「なんだお前は! 女は引っ込んでろ!」
男はジーの肩を突いた。
ジー「静かにしてって言ったでしょ?」
ジーは軽やかに左右にステップを踏むと、男の隙をついて後ろに回り込んだ。
そして、男の腰にタックルすると男を倒し、うつ伏せにしてホールドした。
一瞬の出来事にあっけにとられた男は、次の瞬間火がついたように怒り出した。
男「何してくれとんのや!」
男は暴れたが、ジーは完全に男の体を完全にロックしていた。
その間にマスターが男の口にウオッカを流し込んだ。
マスター「おーい、男手! 手伝ってくれ!」
マスターの掛け声に合わせて、店のボーイやら客やらが集まって、男を店の外に放り出した。
潤「ジー、大丈夫!?」
俺はジーに駆け寄った。
ジー「大丈夫よ。あんな腹の出たオッさんには負けないわ。」
潤「ジー、強いんだね。」
ジー「学生の時はレスリングで県大会優勝したのよ。マスター、のど渇いた。冷たい水ちょうだい。」
潤「惚れた。」
ジー「は?」
潤「好きだ。付き合ってほしい。」
ピアノの演奏は、軽やかに響き続けていた。
ステージ上のピアニストは、チラッとこちらの騒動に目をやったが、素知らぬ顔をして演奏を続けた。
潤「何だよ、あいつ!」
立ち上がった俺をジーが静かに制した。
ジーはヤクザの前に立ち、おだやかに言った。
ジー「兄さん、今ピアノの演奏聞いてんだから、静かにしてくれない?」
男「なんだお前は! 女は引っ込んでろ!」
男はジーの肩を突いた。
ジー「静かにしてって言ったでしょ?」
ジーは軽やかに左右にステップを踏むと、男の隙をついて後ろに回り込んだ。
そして、男の腰にタックルすると男を倒し、うつ伏せにしてホールドした。
一瞬の出来事にあっけにとられた男は、次の瞬間火がついたように怒り出した。
男「何してくれとんのや!」
男は暴れたが、ジーは完全に男の体を完全にロックしていた。
その間にマスターが男の口にウオッカを流し込んだ。
マスター「おーい、男手! 手伝ってくれ!」
マスターの掛け声に合わせて、店のボーイやら客やらが集まって、男を店の外に放り出した。
潤「ジー、大丈夫!?」
俺はジーに駆け寄った。
ジー「大丈夫よ。あんな腹の出たオッさんには負けないわ。」
潤「ジー、強いんだね。」
ジー「学生の時はレスリングで県大会優勝したのよ。マスター、のど渇いた。冷たい水ちょうだい。」
潤「惚れた。」
ジー「は?」
潤「好きだ。付き合ってほしい。」
ピアノの演奏は、軽やかに響き続けていた。
