
果てない空の向こう側【ARS】
第10章 ワンダフル・ワールド(潤)
連れて来られたのは、三宮。
三宮は神戸イチの繁華街。
その山手側の古いライブハウスに、女性は入って行った。
女性「マスター、来たわよ。」
マスター「おう、ジー。いらっしゃい。」
潤「ジー?」
俺は女性に聞いた。
女性「私のニックネームよ。」
潤「あぁ、そうなんだ。でさ、ジー。一体何なのさ、こんなところに連れて来て。」
ジー「あ、始まる。」
ジーが店内の小さなステージに目をやると、中年の男性がピアノの前に座った。
ポロン、と確かめるように鍵盤を鳴らすと、体を揺らしながら軽快な曲を演奏しだした。
潤「これも、ジャズ…?」
ジー「そうよ。」
そのピアノはジーの工房で聴いたサッチモとは全然違い、軽やかでリズム感にあふれていた。
ジーはマスターに何やら手振りをすると、マスターがウィスキーのロックをふたつ運んできた。
ジーは片方のグラスを俺に差し出すと、カチンと合わせて口をつけた。
俺もジーにならってグラスの中身を口に含んだ。
潤「うっ! ゲホッ!」
俺はとたんに咳き込んだ。
そのウィスキーはひどくスモーキーで癖のある味だった。
ただでさえ普段ウィスキーなんて飲まないのに、パンチのあるその風味とアルコールの強さにむせかえった。
ジー「あ、大丈夫!? ごめんごめん、青年にはちょっとキツすぎた?」
ジーは俺の背中をさすると、マスターに水をもらってくれた。
潤「何だよ、この酒!」
俺は水を飲みながら、ジーに怒りをぶつけた。
ジー「ワイルドターキーよ。バーボン嫌い?」
潤「嫌いも何も…。ウィスキーなんて、オッさんが飲む酒じゃん!」
三宮は神戸イチの繁華街。
その山手側の古いライブハウスに、女性は入って行った。
女性「マスター、来たわよ。」
マスター「おう、ジー。いらっしゃい。」
潤「ジー?」
俺は女性に聞いた。
女性「私のニックネームよ。」
潤「あぁ、そうなんだ。でさ、ジー。一体何なのさ、こんなところに連れて来て。」
ジー「あ、始まる。」
ジーが店内の小さなステージに目をやると、中年の男性がピアノの前に座った。
ポロン、と確かめるように鍵盤を鳴らすと、体を揺らしながら軽快な曲を演奏しだした。
潤「これも、ジャズ…?」
ジー「そうよ。」
そのピアノはジーの工房で聴いたサッチモとは全然違い、軽やかでリズム感にあふれていた。
ジーはマスターに何やら手振りをすると、マスターがウィスキーのロックをふたつ運んできた。
ジーは片方のグラスを俺に差し出すと、カチンと合わせて口をつけた。
俺もジーにならってグラスの中身を口に含んだ。
潤「うっ! ゲホッ!」
俺はとたんに咳き込んだ。
そのウィスキーはひどくスモーキーで癖のある味だった。
ただでさえ普段ウィスキーなんて飲まないのに、パンチのあるその風味とアルコールの強さにむせかえった。
ジー「あ、大丈夫!? ごめんごめん、青年にはちょっとキツすぎた?」
ジーは俺の背中をさすると、マスターに水をもらってくれた。
潤「何だよ、この酒!」
俺は水を飲みながら、ジーに怒りをぶつけた。
ジー「ワイルドターキーよ。バーボン嫌い?」
潤「嫌いも何も…。ウィスキーなんて、オッさんが飲む酒じゃん!」
