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果てない空の向こう側【ARS】

第10章 ワンダフル・ワールド(潤)

女性「サンダル貸してあげるから、今日はそれはいて帰りなさい。ダサくても我慢しなさいよ。」

女性が出して来たのは、ビニールでできた通称『便所ゲタ』と言われるサンダルだった。

潤「冗談じゃないよ! こんなのはいて帰れないよ!」

女性「じゃあ、裸足で帰りなさい。」

潤「裸足でなんて帰れる訳ないじゃん!」

潤「じゃあ、話は決まったわね。コーヒー飲んだら帰りなさいね。」

潤「……。」

俺はぐうの音もでなくなって、コーヒーをすすった。

明日、ブーツを取りに来いと言われて俺は工房をあとにした。



次の日、店が終わると俺は昨日の靴工房に寄った。

扉に鍵がかかっていたので、窓ガラスからコンコンとノックしたら、昨日の女性が顔をのぞかせた。

女性「いらっしゃい。」

潤「どうも。」

俺は、レジ袋に突っ込んだサンダルを突き出した。

女性はレジ袋を受け取りと、俺を工房の奥に案内した。

室内には、やはりサッチモが流れていた。

女性は棚から俺のブーツを取り出した。

女性「はい、3000円。底の周りも縫っておいたから。」

潤「はあ、 金取るの!? 俺、修理してくれなんて、ひとことも言ってないし!」

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