
果てない空の向こう側【ARS】
第10章 ワンダフル・ワールド(潤)
女性「はい、どうぞ。」
潤「ありがと…。」
女性が手渡してくれたマグカップからは、香り高い湯気が立ち上っていた。
ひとくち飲むと、苦味とほどよい酸味が口の中に広がり鼻に抜けた。
潤「うまい…。」
女性「でしょ? 元町の自家焙煎の店で買ってるのよ。」
潤「元町? 俺が勤めてる店も元町だよ。」
女性「そうなの? ボーイズバー? それともショップの店員さん?」
潤「美容師だよ。最近、東京から転勤して来たんだ。」
女性「ふーん、道理でオシャレな訳ね。」
女性は、接着剤を塗り込んだ俺のブーツを、体重をかけて圧迫した。
潤「あなたは…、靴の修理屋さんなの?」
女性「靴のオーダーメイドや修理をしてるの。ここは父の代からの工房よ。」
潤「へぇ…。」
道理で、工房の中は古ぼけていて、なんだか懐かしいような雰囲気がした。
壁の棚には、木でできた足型みたいなものがたくさん置かれていた。
潤「しかし、助かったよ。あなたがちょうど通りかかってくれて。でないと、不慣れな街でタクシーも来ないし、途方にくれてたよ。
女性「この靴、今日ははいて帰れないわよ。」
潤「なんだって! じゃあ俺どうすんだよ?」
女性「ふふふ、あなた面白いわね。今、感謝したかと思ったら、次の瞬間悪態ついて、」
女性は、腹を抱えて笑いだした。
潤「ありがと…。」
女性が手渡してくれたマグカップからは、香り高い湯気が立ち上っていた。
ひとくち飲むと、苦味とほどよい酸味が口の中に広がり鼻に抜けた。
潤「うまい…。」
女性「でしょ? 元町の自家焙煎の店で買ってるのよ。」
潤「元町? 俺が勤めてる店も元町だよ。」
女性「そうなの? ボーイズバー? それともショップの店員さん?」
潤「美容師だよ。最近、東京から転勤して来たんだ。」
女性「ふーん、道理でオシャレな訳ね。」
女性は、接着剤を塗り込んだ俺のブーツを、体重をかけて圧迫した。
潤「あなたは…、靴の修理屋さんなの?」
女性「靴のオーダーメイドや修理をしてるの。ここは父の代からの工房よ。」
潤「へぇ…。」
道理で、工房の中は古ぼけていて、なんだか懐かしいような雰囲気がした。
壁の棚には、木でできた足型みたいなものがたくさん置かれていた。
潤「しかし、助かったよ。あなたがちょうど通りかかってくれて。でないと、不慣れな街でタクシーも来ないし、途方にくれてたよ。
女性「この靴、今日ははいて帰れないわよ。」
潤「なんだって! じゃあ俺どうすんだよ?」
女性「ふふふ、あなた面白いわね。今、感謝したかと思ったら、次の瞬間悪態ついて、」
女性は、腹を抱えて笑いだした。
