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果てない空の向こう側【ARS】

第10章 ワンダフル・ワールド(潤)

いつもより早く店に着いたら、オーナーと山口さんが何やら話し込んでいた。

潤「おはようございます。」

オーナー「おう、五十嵐、今朝はやけに早いな。」

山口「あ、オーナー。潤なら…。」

オーナーと山口さんが、顔を見合わせた。

オーナー「だな。」

山口「ですね。」

潤「何ですか、一体。」

俺は見えない話にイラッとしながら、問い返した。

山口「潤、神戸に行かないか?」

潤「旅行ですか? いいですね。」

オーナー「いや、転勤。」

潤「はあっ!?」

それから、オーナーの話を聞いた。

神戸に新店舗を出すことになったのだが、現地採用のスタッフにプラスして、今の店から二人異動させたい、とのことだった。

オーナー「異動の一人は、山口にOKをもらってらたんだが、あと一人を悩んでてな。」

山口「潤は独身だし、身軽だろ。俺も、お前が来てくれたらうまくやれると思う。頼むよ。」

オーナー「シャンプーボーイからスタイリストに上がったことだし、武者修行のつもりで神戸に行って来い。」

潤「やだよ、俺行かないよ。」

そう訴えてはみたものの、二人はすっかりその気になっていた。

潤「行かないって言ってんじゃん!」

俺は頭を抱えた。

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