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短編集2

第3章 万華鏡

「深夜くんだぁ......」




とろけてしまいそうに甘くふにゃりと一輝が笑う。




久しぶりに見た笑顔に俺は都合がいいながらもかわいいと思ってしまった。







「一輝、大丈夫か?どこか痛むとこは?今先生よぶからな.....」





ナースコールを押そうとするとくすくすと嬉しそうな声が一輝からもれる。







「えへへ、久振りにこんなに近くで深夜くんみた。それに僕なんかを心配してくれるなんて幸せな夢だね。」




「一輝.....?」





俺のことを夢だと思っているのかいつもよりニコニコと話しかけてくる。





「ずっと思い描いてたこと、かなったなぁ。深夜くんが笑って僕に話しかけてくれること。」






その言葉にぎゅぅっと胸が締め付けられる。




「夢なら、今だけなら触ってもいいよね?」





そういうと細くなった一輝の腕が伸び俺の掌を握った。





それはすごい弱々しい力で、元々小さかった一輝がさらに小さく見えて消えてしまいそうで






俺は焦って、その手を握り返した。






「あったかいなぁ、現実みたい。」


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