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短編集2

第3章 万華鏡

顔を上げると高人さんから何冊ものノートが渡された。






「これは......?」



「あのアパートから出て来たものらしい。私はもう中身を見させてもらった。これは深夜くんが読むべきものだ。」






それでは私たちはお医者さんのとこに話を聞きに行くと、高人さんは美月さんの肩をだいて病室を出た。






俺と、一輝の二人だけの空間が流れる。






病院服からのぞく怖いほどに浮き出た鎖骨。細い腕に痩せこけた頬。




それだけで、一輝がどんな一年間を過ごしたかがわかる。






「一輝......」






メガネをかけていない一輝の顔にかかる前髪を払う。






長いまつ毛は隠してしまうのが勿体無いほど一輝の儚さを表していた。





横に腰掛けて高人さんから受け取ったノートを見る。



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