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神様の願い事

第2章 秘密

《sideO》


くっそアイツら。
絶対何か仕込んでたな。皆の前で耳が出そうだったじゃねえか。


「君はよく来るねえ」

雅「だって」

「だって、なに?」

雅「進展無いんだよ。俺のお願い忘れてないよね?」


まあでも、耳としっぽが出るだけだと思われてるし。


「結構いい感じだと思うんだけどなあ」

雅「そ、そうかなっ?」


まさかここまで猫っぽい姿になるとは思ってないだろう。
ぽいというか、まんまだけど。


「だからアレだよ。君は雰囲気が足りないよね」

雅「雰囲気? そんなの、神様が叶えてくれるんだったら関係なくない?」

「関係大ありだよ」

雅「そうなの?」

「だって僕は、何もしてないよ?」

雅「へ」


こんな姿になってしまって、呼ばれると勝手に身体が動いてしまうだけだし。
願いを叶えるとか、そんな奇妙な能力なんて一切無いんだ。


雅「え、だって神様でしょ? 今までだって願いを叶えて来たんじゃないの?」

「別にしてないけど?」

雅「え、だって。いっぱいそんな話聞いたよ?」

「勝手に叶うんだよ。要は、自分次第」

雅「えええ~?」

「皆勇気が足りないだけだよ。行動に移さないから何も進まないんだ」

雅「行動...?」

「僕が叶えてくれると思って皆安心して行動するんだよ。すると、不思議な事に叶っちゃうと」

雅「へえええ」

「まあ、騙されたと思ってやってみたら? 案外上手くいくかもよ?」


しかしなんでこんな姿になったんだ。
まるで人助けでもするかのように、勝手に小汚い商店街に来ちゃうし。



それもこれも、あの露天商で買ったアンティークな姿見のせいか。






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