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神様の願い事

第2章 秘密




智くんは猫みたいなんだ。


踊る時だってそうだ。
猫のようにシュタッと、軽やかに、しなやかに着地する。

まるで足音を立てずに忍び寄る猫のように、どれだけ激しく踊っていても足音なんて聞こえやしないんじゃないかと思う程、その身体はしなやかに舞う。


普段だって気まぐれな猫のようで。


翔「あ、あの。智くん」

智「ん...?」


急にどうしたんだ。


翔「眠いの、かな?」

智「ん~、そういう訳でも無いけど...」


皆が出てって、俺は智くんと少し離れた席に座った。
だけど、そんな俺をチラッと見ると、智くんはおもむろに席を立って。
俺の座るソファーに腰掛けたんだ。

なんかいい匂いするね、とかなんとか言って。


智「んぅ~...」


喉の音がゴロゴロと聞こえてきそうだ。


翔「やっぱ眠いんでしょ」

智「や、さっき寝たし」

翔「じゃあ、コレはどういう...」


固まる俺の肩に頭を乗せ、ゴロゴロと擦り寄って来てる。


智「コレ...?」


そのまま俺を見上げて、甘い声を出す。


智「んふ、なんか気持ちよくて」


気持ちいいとか言い出すんだ。
さっきは松潤とラブラブしてたっていうのに。
なんなんだ一体。まさか智くんて魔性のオトコなんだろうか。


智「ここ、か...?」

翔「うひゃ」


肩に乗せた頭を少しずらす。
ずらして俺の胸まで来ると、胸のポケットあたりに顔をぐりぐりと押し付けるんだ。


智「やっぱここだ」

翔「さ、智く、擽った...」

智「んふ」

翔「ちょマジで、ひゃ、うひゃひゃっ」

智「んふふっ」


ぎゅうっと俺に抱きついて離れない。
顔を俺の胸に埋め、んふふと楽しそうに笑ってる。


智「はぁ、気持ちよくて堪んないよ...」


フッと力が緩んだと思ったら、コロンと俺の膝に転がって。
それで、ふわりと笑みを浮かべながら言う。


智「翔くん...」


俺の膝に頭を乗せたまま、俺に向かって手を伸ばす。
俺もその腕に引き込まれるように、智くんに手を伸ばしたんだ。

そうして智くんの背に腕を回すと、智くんの首筋が俺の目の前に来て。

少し緩んだ首元が露わになった。


翔「え...」


その首筋は見た事がある。



見た事のある紅い痕が、その首筋にうっすらと残っていた。






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