
神様の願い事
第9章 ねこのきもち
雅「だって翔ちゃんキスしたんでしょ?」
翔「えっ」
潤「あ、大丈夫。俺見てたから」
翔「いっ?」
和「あの“肌守り”の時だよね? トイレでさ」
潤「いやぁ、濃厚だったよね(笑)」
翔「う」
目を白黒させる翔ちゃんは、それに反して顔がどんどん赤くなって。
翔「だからあれはマタタビのせいであって」
雅「でもあん時は俺が持ってたんだよ?」
翔「だったらそれは、残り香かなんかじゃないの?」
潤「う~ん」
翔ちゃんがキスをするのは分かる。だって好きなんだから。
和「俺らもさ、この人の事はよく掴めてないけど」
潤「でも、俺らとはキスの雰囲気にすらならなかったんだよ?」
和「だよねぇ。あんなに迫ったのに」
翔「だからそれはマタタビ...」
また意地でも反論するのかと思ったら、翔ちゃんは何やら考え込んだ。
翔「や、でも... マタタビが無くなってからも...」
雅「またキスしたの?」
和「またって(笑)」
翔「...智くんて、好きな人いるのかな」
雅「へ?」
翔「聞いた事無いからさ。もしいるんだったら…」
潤「いるんだったら?」
翔「上手く、いってないのかなって」
和「どうしてそう思うの?」
翔「前に言ってたんだよ。“俺だってキスしたい時もある”って。だから何か、寂しくて俺と...って、事なのかなと」
だとしたらそれは翔ちゃんが原因だろ。
くっそ。言いたいのに言えない。
こんなにもどかしい事があるなんて、全くどうにかならないものか。
和「そこは知らないけど、とにかく翔さんは“特別”だよ」
翔「え?」
潤「たぶん、そんな事があっても俺らには甘えないよこの人」
雅「翔ちゃんだからじゃないの?」
翔「俺だから、甘えるの...?」
さぁどうだ。もう一押しか?
雅「ずっと前からそうだよ。取材とかでも、“この中で付き合うなら?”とか“一番カッコいいのは?”とか」
和「そういう時は、決まって“翔くん”だったもんね」
潤「そうそう。よくブレないなって思ってたもん俺(笑)」
翔「ははっ、そうだっけ...」
難しい考え方はやめて、たまには単純に考えてもいいんじゃないかな。
俺は、そう思うよ。
