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神様の願い事

第9章 ねこのきもち




翔「ありがと、もう平気だよ」

「にゃ...」


すっかり大人しくなった智くんは、頭を撫でてやると俺に擦り寄ってきた。


「にゃぅ~ん...、ゴロゴロ...」

潤「またマーキング?」

雅「外に出たから。自分以外の匂い付けて帰って来たからヤキモチ妬いてんじゃない?」

和「なるほど。自分の匂いを付け直してるんだね」

雅「そういう事」


智くんにしっかりとマーキングをされた俺は、智くんを抱いて椅子に座る。


和「急に懐いた?」

潤「まぁあれだけマーキングしてるとこ見たら。相当好きなんだろうね、翔さんの事」

翔「えっっ」


智くんの心が働いているのか、それとも只の猫の本能とやらか。
それは分からなくとも、俺は天にも登る気持ちだ。


翔「智くんも食べる?」

「にゃ」

翔「これは? 猫でも食べられる?」

「にゃんっ♪」


“すっかり飼い猫のようだ”と言われながら、俺と智くんは一緒に飯を食った。
食べ終わっても智くんは俺から離れず、ゴロンと横になった俺の顔をペロペロと舐めてきた。


翔「ふふ、擽ったいっ、て言うか痛いよ(笑)」


ザラザラなその舌は、嬉しいんだけど少し痛くて。


雅「翔ちゃんの匂いを感じて安心してるんだね」


“安心してる”という智くんは、それはもう必死にペロペロしてくる。
小さな肉球を俺の頬に押し付け、目の周りを丁寧に舐めまくった。


翔「俺はこれ、どうすればいいの? 痛いんだけど」


転がったまま動けずに相葉くんに聞くと。


雅「膝にでも乗っけて撫でてやれば? 翔ちゃんと離れたくないだけだよきっと」

翔「俺と、離れたくないの...?」

和「“好き”の感情がよく出てるよ。結構わかりやすいんだね猫って」

潤「リーダーって可愛いんだな(笑)」


確かに、こんな姿に仕草、どこからどう見たって可愛いんだ。


翔「いや、和んでる場合じゃなくて」


可愛いから困る。すっかり和んでしまってほのぼのとした空気が流れてしまっている。


翔「戻す方法、見付けないと」

和「だね」


腹ごしらえもしたし、智くんは俺の手で撫でられて微睡んでいるし。


そろそろ本格的に模索しようか。





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