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神様の願い事

第9章 ねこのきもち




潤「お腹空かない?」

雅「減ったね」


そんなこんなでもう昼になろうとしていた。


「んにゃあ~」

和「ほら、大野さんもお腹空いてるみたい」

雅「何か買ってくるよ。近くにお店ある?」


立ち上がる相葉くんに、智くんも付いて行こうとして。


翔「俺が行くよ。旨い弁当屋があるから」

潤「リーダーは留守番だよ」

「にゃ?」


俺にちょこちょこと付いてくる智くんを見たかった。
なのに少し歩いたら、智くんは松潤に抱き上げられてしまった。


和「何かあったら危ないしね」


まあそうか。そうだよな、仕方ない。


翔「じゃあ、行ってくるわ...」

雅「翔ちゃん、俺唐揚げね~」


畜生呑気だな。
あんなの智くんにだって引けを取らないぞ。

というかもう昼だ。

こんな調子で人間に戻る術なんて何も進んじゃいなかった。

その事に焦りを感じた俺は、呑気な三人、いや四人を尻目に急いで弁当屋へと向かった。




ガチャ


翔「ただいま~」

「にゃんっ」


ドアを開けたすぐその先に、智くんがちょこんと座っていた。


和「翔さんが出てってからずっとそこに居たんだよ?」

翔「ずっと?」

雅「翔ちゃんがどっか行っちゃって寂しかったんだろうね。玄関と睨めっこしてた(笑)」

翔「そうなんだ...」


マジかよ。なんて嬉しいんだ。
俺の帰りを健気に待っててくれたんだな。


翔「って、ううわっ!」

「にゃーんっ♪」

翔「ちょ、智くんっ、駄目っ、これは駄目なのっ」

「にゃにゃにゃーっ」


てっきり擦り寄って甘えてくれるものだと思ってたのに。
智くんは俺の下げている袋目掛けて突っ込んできた。


雅「なんだろねぇあれ。猫って本当、袋好きだよね(笑)」

翔「ちょ、そんな事言ってないで弁当を...っ」

「にゃぅっ」

翔「いででっ」


袋の中に手を入れると、智くんも一緒に頭から突っ込んできて。
鋭利な爪が俺の手に刺さった。


「にゃ...?」


俺が手を摩ると、智くんの動きは止まる。


翔「え」


すると袋からそろりと出て、俺の手をペロペロと舐め始めた。


雅「リーダーかな?」

和「だね」


智くんの心を覗かせ、心配そうに俺の手を舐めるんだ。


俺をいちいち驚かせて、全く智くんは。


やっぱり、油断大敵だな。





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