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神様の願い事

第7章 謎のオバケ

《sideM》



ガササッ


潤「うわ...っ」


てなんだ。風の音かよ。


潤「それにしても、薄気味悪ぃな...」


深夜の、壊れかけた街灯がチカチカする商店街に来ていた。


潤「お爺さ~ん、どこですか~...」


静まり返った商店街には、当たり前のように俺の小さな声だけが響く。


潤「出て来て下さ~い...」


今日は居ないんだろうか。
汚い角を曲がるとあの大きな鏡は佇んでいるのに、そこにお爺さんの姿は見当たらない。


潤「どうやったら会えるんだろう...」


辺りを見回して、人の気配なんてこれっぽっちもしなかったから。
薄気味悪いし、今日は諦めて帰ろうかと思った。


...パキッ


潤「っ!?」


驚いて息を呑んだ。
それと同時に物凄い勢いで振り向くと、さっきまで無かった筈の気配がした。


和「潤くん」


とうとうオバケに出会ったか。
そう思ったのも束の間、俺の目の前にはきょとんとする見慣れた顔が。


潤「...っ、な、なんだ。ニノかよ」

雅「俺もいるよ?」


その隣にこれまた見慣れた顔が。


和「...ふふっ、ごめん。 驚かすつもりは無かったんだけど」

雅「今、ちょっと飛んだよね?(笑)」

潤「飛んでねぇし」


一人でこんな所に来て。
俺がどれほど慎重に足を進めていたと思ってるんだ。


潤「そっちこそ。怖いから一人じゃ来れなかったんでしょ?」

和「べっ、別に怖くなんて」

雅「いや、ビビってたじゃん(笑)」

和「な...っ、 そっちこそなっ!?」


別に話を合わせた訳でも無いのにこんな所でバッタリ出会う。
しかも、揃いも揃ってビビリが勇気を出して。


和「で? おじいちゃん居た?」

潤「いや、見つかんねえ」


こういう事だ。


俺達の目的は、同じだったという事だ。





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