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神様の願い事

第7章 謎のオバケ

《sideN》



あ、安心して態度が横柄になった。
さっきまで物凄い小さな歩幅で進んでたくせに。


潤「折角お前ら来たんだし、もう少し探してみるか」

和「そうだね」


相葉さんが見たい見たいとうるさいし、俺も気になってたから。
だから夜中なのにこんな所にやってきた。


雅「なんて呼ぶの? 神様...じゃないのか。オバケだっけ?」

和「まだわかんないよ」


確かに不思議ではあるけど、正体は未だ掴めない。
もしかしたら、本当に只の少しイカれたおじいちゃんかもしれないし。


雅「オバ...、お爺さ~ん」


相葉さんだってビビリなくせに、三人揃って少し楽しくなってるし。


潤「ちょっと聞きたい事あるんですけど~」

和「出てきてくれませんかねぇ~?」


何をやってんだ。
こんな夜中にこんな廃れた商店街で。
男三人が寄って集ってお爺さんを呼び続ける。


雅「出て来ないねぇ」

潤「う~ん。今日は来ないのかな」


その時。


「ワシを呼んでおるのか?」


俺の背後で急に声がした。


和「ひぃっ」

潤「お爺さんいつから」

「今じゃが?」


“今”と言う割に、俺の後ろは直線のソコソコ長い道で。
キョロキョロと辺りを見回していた俺達に気付かれずに背後に付くなんて、到底不可能だと思われた。


雅「俺、オバケ初めて見たかも」

「は?」


それを瞬間的に察知した相葉さんは、うっかり心の声を漏らす。


「...あ? 相葉ちゃんっ!?」

雅「へ」

「うわぁ、久し振りだなぁ」

雅「 はい?」


年寄りには似つかわしくない甘えた声で、嬉しそうな声を出した。


雅「え、俺会った事」


きょとんとする相葉さんは、おじいちゃんにバシバシと肩を叩かれグラグラと揺れる。


「あ、いや。取り乱した」


コホンと咳払いをしたものの、おじいちゃんは嬉しそうに頬を緩め、目尻に優しそうな皺を刻んだ。


和「う~ん? やっぱその顔どっかで...」


会った事も無い筈のおじいちゃんなのに。
どうしてもその顔に見覚えがある。


雅「...リーダー......?」


その悩みを払拭する一言を、相葉さんは放った。


和「は... なに言ってんの?」


相葉さんに“リーダー”と呼ばれたおじいちゃんは、あちゃ~と言わんばかりに両手で顔を隠していた。



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